AWSマイグレーション戦略とは、企業がオンプレミスのデータセンターからAWS Cloudへワークロードを移行する際に用いる、7つの体系的なアプローチ(7つのR)である。具体的には Retire、Retain、Relocate、Rehost、Replatform、Repurchase、Refactor の7つを指す。これら技術的なマイグレーション戦略を補完するものとして、**AWS Cloud Adoption Framework(AWS CAF)**が存在する。AWS CAFはBusiness、People、Governance、Platform、Security、Operationsという6つの組織的視点を提供し、移行プロジェクト全体を成功に導く枠組みを整える。
CLF-C02タスクステートメント1.3に向けて学習中の場合、ワークロードを説明するシナリオ問題で7つのRの中から適切なマイグレーション戦略を選ぶ問題、および組織の課題を正しいAWS CAFの視点に対応させる問題に対応できるよう準備が必要だ。
AWSマイグレーション戦略とは何か?
AWSマイグレーション戦略(しばしば7つのR、または歴史的には6 R'sとも呼ばれる)は、AWS Cloudへの移行を検討するすべてのワークロードに対するAWSの標準的な方針集である。7つのRはそれぞれ、速度・コスト・クラウドネイティブのメリット・エンジニアリングの労力というトレードオフの異なる立場を表す。試験では、与えられたビジネスシナリオに対してどのマイグレーション戦略が最適かを判断する能力が問われる。
CLF-C02において、AWSマイグレーション戦略のトピックは互いを補完する2つの知識体系から構成される。
- 技術的なAWSマイグレーション戦略(7つのR):個々のアプリケーションをAWSへ移行する際に何を行うかを定義する。
- AWS Cloud Adoption Framework(AWS CAF):人材・プロセス・ガバナンスを組織全体で変革し、マイグレーション戦略を大規模に継続させるための方法論を定義する。
両方の層が試験で問われる。7つのRのみ暗記した受験者はAWS CAFの視点に関する問題で失点し、逆もまた然りである。
7つのRとはAWSが定めるマイグレーション戦略の正式名称である:Retire、Retain、Relocate、Rehost、Replatform、Repurchase、Refactor。各RはAWS移行においてワークロードをどう扱うかの異なるアプローチを示す。7つすべての名称と定義を暗記することが、このCLF-C02トピックで最も費用対効果の高い学習行動である。参照:https://docs.aws.amazon.com/prescriptive-guidance/latest/large-migration-guide/migration-strategies.html
CLF-C02でマイグレーションが重要な理由
AWSへの移行はドメイン1(比重24%)のトピックである。特にCLF-C02でAWS CAFの内容が明示的に追加されたことにより、コミュニティの情報では前年比+15%の言及増加が観測されている。65問の試験でAWSマイグレーション戦略またはAWS CAFの視点に関する問題が5〜10問出題されると見込まれる。
やさしい解説: 7つのRとは結局、「すでに所有しているものをどう扱うか」に対する7種類の答えである。各Rは変化の度合い・コスト・速度・リスクのスペクトラム上の異なる位置に置かれている。最も試験に出るRehost・Replatform・Refactor・Repurchase・Retire・Retainの6つを記憶に定着させるために、日常の場面から3つの類比を紹介する。それぞれ意思決定の異なる側面を際立たせるために意図的に選んだ。
類比1 — 引っ越しの荷造り(変化の度合い)
古い家から新しいマンションへ引っ越しする場面を想像してほしい。自分の持ち物をどう扱うか考えてみよう。誰も座らなくなった古びたソファは路頭に捨てる——これが Retire だ。祖父母から受け継いだ家宝の掛け軸は遺産分割の手続きが済むまで旧居に置いておくしかない——これが Retain だ。本棚はそのまま梱包してトラックに積み、新居でも同じ場所に並べる——これが Rehost(lift-and-shift)だ。旧居のガスコンロを処分してマンション備え付けのIHクッキングヒーターに替える——これが Replatform だ。ダイニングセットごと売り払って、家具付きマンションに入居する——これが Repurchase だ。壁をぶち抜いてスマートホームにフルリノベーションするのが Refactor だ。
類比2 — 居酒屋の移転(コスト対速度のトレードオフ)
居酒屋の店主が新しい物件に移転する際、各選択肢をコストと速度で評価する場面を想像してほしい。まったく同じメニュー・同じ仕入れ先・同じ調理法で最短日数で再オープンする——これが Rehost だ。メニューはそのままに、店主が持ち込む備長炭の七輪をやめて物件のガスコンロを使う(業者の手間が減って楽になる)——これが Replatform、小さな改良で実質的な運用改善を得る。全店を閉めてフランチャイズ契約を結び、チェーンの仕組みに丸ごと乗り換える——これが Repurchase だ。まったく新しい創作料理の概念でゼロから出直す——これが Refactor、最もコストがかかり時間もかかる。RetireとRetainは「いまはやらない」という店主の2つの答えだ。
類比3 — 書籍の翻訳(ビジネスリスク)
出版社が外国語の小説を日本語版として出版する際の判断を例に、各選択肢が持つリスクの違いに着目してほしい。原文を一語一語そのまま直訳する——労力が少なくリスクも低いが読みやすさは犠牲になる。これが Rehost だ。慣用句や文化的背景を日本の読者向けに工夫しながらも同じ物語として意訳する——同じ原作に的を絞った改善を施すのが Replatform だ。原作にインスパイアされた完全新作を日本人作家が書き下ろす——最大のリスクと最大のリターン、これが Refactor だ。別の出版社がすでに出している既存の日本語版を買い取る——自前の翻訳作業を省略するのが Repurchase だ。シリーズから絶版にするのが Retire、権利問題が解決するまで棚に置いておくのが Retain だ。
Core Operating Principles — 7つのRの詳細
7つのRのそれぞれが独自のAWSマイグレーション戦略を表す。CLF-C02試験ではビジネスシナリオを正しいRに対応させる能力が試される。以下の各H3を丁寧に学習すること。
Retire
定義:不要になったアプリケーションを廃止する。AWSへの移行は行わず、ワークロードそのものをなくす。
使用時期:AWSへの移行アセスメント段階で通常、ポートフォリオ内のアプリケーションの10〜20%が未使用・重複・またはビジネス価値ゼロのレガシーシステムであることが判明する。これらを廃止することでライセンス費用が削減され、攻撃対象が縮小し、移行スコープが縮小される。
具体例:ある企業が3つの社内wikiシステム(Confluence、MediaWiki、自社製PHPサイト)に重複コンテンツがあることを発見する。2つを廃止し、Confluenceのみをアップグレードして継続利用する。これが純粋なRetireであり、シャットダウンするだけで済むため、特定のAWSマイグレーション戦略は不要だ。
Retain(Revisit)
定義:アプリケーションをとりあえずオンプレミスで稼働し続ける。RetainまたはRevisitとも呼ばれる——条件が変わるまでAWSへの移行判断を先送りする。
使用時期:規制上の制約・ライセンス契約・依存関係のロックイン・または事業上の重要性により、AWSへの即時移行がリスクが高すぎる場合にワークロードを保留する。Retainは「絶対に移行しない」ではなく「まだ移行しない」という意味だ。
具体例:あるヘルスケア企業が3年間のベンダーサポート契約に縛られたオンプレミスの保険金支払い処理システムを保有している。契約終了まで現行システムを維持し、その後にマイグレーション戦略の判断を改めて行う。Retainは現在の移行Waveからワークロードを明示的に除外する。
Relocate(ハイパーバイザーレベルの移動)
定義:オンプレミスのハイパーバイザー(一般的にはVMware)からAWSへ、一切の変更なしにワークロードを移動する——VMware Cloud on AWS等を利用。OS・IPアドレス・アプリケーションのいずれも変更しない。
使用時期:Relocateは、VMwareを大規模に運用している組織が物理データセンターを迅速に撤退させたい場合に最速のマイグレーション戦略となる。再IP設定や運用チームの再訓練が不要だ。7つのRに後から追加された比較的新しいアプローチである(元々の6 R'sには含まれていなかった)。
具体例:小売企業が2つのデータセンターで500台のVMware仮想マシンを稼働させている。VMware Cloud on AWSを使い、週末のカットオーバーで500台すべてをAWSインフラへ移動する。アプリケーションは変更なしに稼働し続ける。これがRelocateとReHostの違いを示す好例だ——エージェント不要・新規AMI不要、ハイパーバイザーの可搬性そのものが価値を生む。
Rehost(Lift-and-Shift)
定義:コード変更なしでアプリケーションをそのままAWSコンピューティング(通常はEC2)へ移動する。これがいわゆる「lift-and-shift」アプローチであり、CLF-C02でAWSマイグレーション戦略の中で最も頻出となっている。
使用時期:スピードとデータセンター撤退を最優先する大規模なAWS移行においてReHostが最適だ。マネージドサービスの恩恵をすぐには得られないが、後のReplatformまたはRefactor作業でクラウドの利点を享受できる。AWSは **AWS Application Migration Service(MGN)**を提供してReHostを自動化する。
具体例:金融サービス企業がAWS Application Migration Serviceを使い、オンプレミスVMware上の2,000台のWindowsおよびLinuxサーバーをEC2インスタンスへ9か月で移行する。この段階ではアプリケーション自体には手を加えず、後のWaveで対応する。
試験対策のポイント:CLF-C02のシナリオで「コード変更なし」「最速」「最小限のリファクタリング」「EC2にそのまま移動」という表現が出てきたら、ほぼ確実に Rehost が正解だ。Rehoのstはデッドラインのある物理データセンター撤退において支配的なマイグレーション戦略である。参照:https://docs.aws.amazon.com/prescriptive-guidance/latest/large-migration-guide/rehost.html
Replatform(Lift-Tinker-and-Shift)
定義:コアアーキテクチャを変えずに的を絞ったクラウド最適化を施しながらワークロードをAWSへ移動する。「lift-tinker-and-shift」とも呼ばれる。Replatformはスピードと適度なクラウドネイティブの恩恵のバランスを取る。
使用時期:完全なリライトなしに一部のマネージドサービスを活用したい場合にReplatformが有効だ。代表的なReplatformの移行例には、自己管理データベースをAmazon RDSまたはAuroraへの切り替え、自己管理Webサーバーをelastic Beanstalkへの切り替え、セッション状態をElastiCacheへの移動などがある。
具体例:あるSaaS企業がアプリケーション層をEC2へReHostしながら、同時にPostgreSQLデータベースを自己管理のオンプレミス環境からAmazon RDS for PostgreSQLへReplatformする。アプリケーションの接続文字列は変わるがSQLは変わらない。リライトなしに管理されたバックアップ・自動パッチ適用・Multi-AZフェイルオーバーを獲得できる。
Repurchase(Drop-and-Shop)
定義:既存アプリケーションを廃棄し、別の製品——通常はSaaSオファリング——に置き換える。「drop-and-shop」とも呼ばれる。
使用時期:CRM・ERP・HR・メール・コラボレーションなどコモディティ化したビジネス機能に成熟したSaaSが存在する場合にRepurchaseが適切だ。古いソフトウェアをAWSでホストするのではなく、サブスクリプションを購入する。
具体例:中堅企業がオンプレミスのSiebel CRMを廃止してSalesforceをSaaSとして導入する。CRMワークロードに対するAWSマイグレーション戦略はユーザープロビジョニング以外は不要だ。同様に、オンプレミスのMicrosoft ExchangeをMicrosoft 365へ、オンプレミスのHRISをWorkdayへ切り替えるケースもRepurchaseに該当する。
Refactor / Re-architect
定義:クラウドネイティブパターン(マイクロサービス・サーバーレス・マネージドデータベース・イベント駆動アーキテクチャ)を用いてアプリケーションをゼロから再設計する。7つのRの中で最も労力がかかるが、最大の恩恵をもたらすマイグレーション戦略だ。
使用時期:既存アーキテクチャがビジネスに必要なスケーラビリティ・機能開発速度・コスト効率を実現できない場合、かつそのアプリケーションが再構築に見合う戦略的重要性を持つ場合にRefactorを選択する。多くの場合、最初のReHostでオンプレミスからの撤退を果たした後に、第2フェーズとしてRefactorを実施する。
具体例:ストリーミング企業がモノリシックなJavaコンテンツ取り込みパイプラインをAWS Lambda関数へRefactorし、Amazon S3イベントをトリガーにする。メタデータはAmazon DynamoDBに、オーケストレーションはAWS Step Functionsで管理する。スループットが10倍になり、コストが40%削減され、リリース頻度が月次から毎日に変わる。これがAWSマイグレーション戦略のクラウドネイティブ最終状態の正規例だ。
7つのR——1行ずつ定義を暗記せよ:
- Retire — 廃止(デコミッション)する。
- Retain — オンプレミスに置いておく(先送り)。
- Relocate — ハイパーバイザーごと移動(VMware Cloud on AWS)。
- Rehost — lift-and-shift(コード変更なし、通常EC2へ)。
- Replatform — lift-tinker-and-shift(的を絞ったクラウド最適化、例:RDS)。
- Repurchase — drop-and-shop(SaaSへ置き換え、例:Salesforce)。
- Refactor / Re-architect — クラウドネイティブに再設計(Lambda・DynamoDB・マイクロサービス)。
Primary Use Cases — シナリオからマイグレーション戦略へのマッピング
CLF-C02の中核スキルの1つは、記述されたビジネス状況から正しいマイグレーション戦略を選ぶことだ。以下は試験対策コミュニティで繰り返し登場するシナリオ対応パターンだ。
「12か月以内にデータセンターを撤退しなければならない」
速度がすべてに優先する。答え:Rehost(大規模lift-and-shift)。AWS Application Migration Serviceを活用する。VMwareの割合が高い環境ではRelocateも副次的な検討対象となる。
「データベースの運用負荷を減らしたい」
マネージドサービスの活用。答え:Replatform ——Amazon RDS、Aurora、またはDynamoDBへ移行する。実際のデータ移行パイプラインにはAWS Database Migration Service(DMS)を組み合わせる。
「社内CRMが独自開発で保守が大変だ」
成熟したSaaSが存在するコモディティ機能。答え:Repurchase ——Salesforce、HubSpotなどへ切り替える。
「クラウドネイティブの機能を最大限活用したい」
戦略的な投資。答え:Refactor ——マイクロサービス・サーバーレス・コンテナへ再設計する。
「規制上の制約で2027年まで移行できない」
ポリシーによるブロック。答え:Retain ——AWSへの移行判断を先送りする。
「このシステムは18か月間誰もログインしていない」
デッドウェイト。答え:Retire ——廃止して移行スコープから除外する。
AWS Cloud Adoption Framework(AWS CAF) — 6つの視点
AWS Cloud Adoption Framework(AWS CAF)は、エンタープライズスケールでAWSマイグレーション戦略を継続させるための組織的な方針集だ。AWS CAFはクラウド変革を6つの視点に整理し、それぞれ異なるステークホルダーが主導する。CLF-C02受験者は各視点とその代表的な関心事を対応させられなければならない。
AWS Cloud Adoption Frameworkは、組織のクラウド変革を支援するAWSのガイダンスだ。AWS CAFは6つの視点——Business、People、Governance、Platform、Security、Operations——を基盤とし、各視点はAWSへの移行中にステークホルダーが強化すべき一連のケイパビリティをまとめている。AWS CAFは7つのRで定義されるマイグレーション戦略を補完するものであり、技術的なワークロード移動だけでなく、人材とプロセスの次元にも対応する。参照:https://docs.aws.amazon.com/whitepapers/latest/overview-aws-cloud-adoption-framework/welcome.html
Business視点
担当者:CEO、CFO、COO、CIO、事業部門リーダー。
関心事:AWSへの移行をビジネス成果と整合させる。戦略管理・ポートフォリオ管理・イノベーション管理・製品管理・戦略的パートナーシップ・データ収益化・ビジネスインサイトなどのケイパビリティを含む。
試験対策キュー:「ITコストを収益を生む取り組みに整合させる必要がある」→ Business視点。
People視点
担当者:CHRO、CIO、クラウドセンター・オブ・エクセレンス(CCoE)リーダー。
関心事:クラウドスキルのギャップを解消する。カルチャーの進化・変革的リーダーシップ・クラウドリテラシー・人材変革・変更管理・組織設計・タレントマネジメントなどのケイパビリティを含む。
試験対策キュー:「スタッフにクラウドスキルを習得させる必要がある」または「クラウドエンジニアを採用する必要がある」→ People視点。AWS CAFの視点対応において最も一貫して出題されるパターンのひとつだ。
Governance視点
担当者:CIO、CTO、CFO、CDO(データ責任者)、CRO(リスク責任者)。
関心事:クラウドの取り組みを管理してメリットを最大化しリスクを最小化する。プログラム・プロジェクト管理・ベネフィット管理・リスク管理・クラウド財務管理・アプリケーションポートフォリオ管理・データガバナンスなどのケイパビリティを含む。
試験対策キュー:「プロジェクト間のクラウド支出とリスクを管理する必要がある」→ Governance視点。
Platform視点
担当者:CTO、テクノロジーリーダー、クラウドアーキテクト、エンジニアリングリーダー。
関心事:エンタープライズクラウドプラットフォームの構築——ランディングゾーン・共有サービス・CI/CDパイプライン。プラットフォームアーキテクチャ・データアーキテクチャ・プラットフォームエンジニアリング・データエンジニアリング・プロビジョニングとオーケストレーション・モダンアプリケーション開発・CI/CDなどのケイパビリティを含む。
試験対策キュー:「AWSのランディングゾーンとCI/CDを構築する必要がある」→ Platform視点。
Security視点
担当者:CISO、CCO(コンプライアンス責任者)、内部監査。
関心事:機密性・完全性・可用性・プライバシー・回復力の確保。セキュリティガバナンス・セキュリティアシュアランス・IAM・脅威検知・脆弱性管理・インフラ保護・データ保護・アプリケーションセキュリティ・インシデントレスポンスなどのケイパビリティを含む。
試験対策キュー:「HIPAAとSOC 2へのコンプライアンスを証明する必要がある」→ Security視点。
Operations視点
担当者:CIO、COO、テクノロジーリーダー、SRE・プラットフォームチーム。
関心事:ビジネスニーズに応えるためにクラウドサービスを運営・進化させる。オブザーバビリティ・イベント管理(AIOps)・インシデントおよび問題管理・変更とリリース管理・パフォーマンスとキャパシティ管理・コンフィグレーション管理・パッチ管理・可用性と継続性管理・アプリケーション管理などのケイパビリティを含む。
試験対策キュー:「AWSワークロードの24時間365日の監視とインシデントレスポンスが必要だ」→ Operations視点。
AWS CAFの語呂合わせ:6つの視点を B-P-G-P-S-O として覚えよう——「Business(事業)で People(人材)が Governance(統治)し、Platform(基盤)を Security(安全)に Operate(運営)する」。各視点をC-suiteの役職に対応させると:Business→CEO/CFO、People→CHRO、Governance→CIO/CRO、Platform→CTO、Security→CISO、Operations→COO/SRE。CLF-C02のAWS CAF問題はほぼ常に「この関心事を誰が気にするか?」という形式で出題される。参照:https://aws.amazon.com/cloud-adoption-framework/
AWS CAFのメリット — なぜCAFが移行に重要か
AWSは、AWS CAFをマイグレーションに適用することで4つの主要なメリットが得られると強調している。
- ビジネスリスクの低減 — 6つすべての視点でリスクをプロアクティブに特定・軽減することで移行失敗の確率を下げる。
- ESGパフォーマンスの向上 — AWS CAFはWell-Architected FrameworkのSustainabilityピラーとサステナビリティ面で連携し、環境に配慮したAWS移行を実現する。
- 収益の増加 — クラウドによるアジリティが新製品・新チャネル・新しい顧客体験を生み、トップライン成長を後押しする。
- 運用効率の向上 — 自動化・マネージドサービス・モダンな運用手法がユニットコストを削減し、デリバリーを加速する。
この4つのAWS CAFメリットは「AWS CAFのメリットはどれか?」という形式の問題で出題されることがある。
マイグレーションサポートツール — AWSマイグレーションツールキット
AWSは7つのRすべてにわたるマイグレーション戦略を加速するサービス群を提供している。CLF-C02では各サービスについて認識レベルの理解が求められる。
AWS Migration Hub
複数のAWSリージョンと移行ツールにまたがるエンタープライズ規模のAWS移行を計画・追跡・報告する単一のコンソール。Migration Hubはディスカバリーデータ・アセスメント結果・移行ステータスを集約する。
AWS Application Migration Service(MGN)
Rehostの主力エンジン。MGNはソースサーバーをブロック単位でAWSにレプリケートし、EC2上でほぼゼロダウンタイムのカットオーバーを実施する。大規模なlift-and-shift移行において推奨されるツールだ。
AWS Application Discovery Service
オンプレミスのワークロードを探索し、サーバースペック・パフォーマンスデータ・依存関係を収集する。その出力がAWSマイグレーション戦略の意思決定——各ワークロードにどのRを適用するか——を支援する。
AWS Database Migration Service(DMS)
最小限のダウンタイムでデータベースをAWSへ移行する。AWS DMSは同種移行(Oracle → Oracle on RDS)と異種移行(Oracle → Aurora PostgreSQL)の両方をサポートする。データベース層を変更するReplatformおよびRefactorのマイグレーション戦略において不可欠だ。
AWS Schema Conversion Tool(SCT)
異種データベース移行においてAWS DMSと組み合わせて使用する。AWS SCTはソースとターゲットのエンジン間でデータベーススキーマ・ストアドプロシージャ・SQL方言の違いを変換する。Oracle → PostgreSQL、SQL Server → Auroraなどの移行でDMSの前にSCTを使用する。
AWS DataSync
NFS・SMB・HDFSなどのファイルデータをオンプレミスのストレージとAWSストレージサービス(S3、EFS、FSx)間でオンラインで転送するサービス。
データベース移行の組み合わせを暗記せよ:AWS SCT(Schema Conversion Tool)がスキーマを変換し、AWS DMS(Database Migration Service)がデータを移動する。SCTは異種ReplatformのStructural変更を担い、DMSは継続的なデータレプリケーションとカットオーバーを担う。このペアリングはCLF-C02の移行シナリオ問題で繰り返し登場する。参照:https://aws.amazon.com/dms/schema-conversion-tool/
AWS Snow Family — 物理的なデータ移行
ネットワークがAWS移行のデータ量を処理できない場合(データ量が多すぎる・帯域が狭すぎる・ロケーションが遠すぎる)、AWS Snow Familyのデバイスが物理的にデータをAWSへ届ける。
AWS Snowcone
- 容量:最大8 TB HDD / 14 TB SSDの使用可能ストレージ。
- フォームファクター:最小・堅牢・ポータブル(約2 kg)。
- ユースケース:ドローンや車両がセンサーデータを収集するような戦術的・モバイル・現場環境でのエッジコンピューティングと軽量なデータ移行。
AWS Snowball(Snowball Edge)
- 容量:Snowball Edge Storage Optimizedは使用可能なHDDストレージ80 TB(+1 TB SSD)、Compute Optimizedバリアントはエッジワークロード向けにHDD 42 TBと多くのvCPU/RAMを提供。
- フォームファクター:アタッシュケースサイズ・堅牢。
- ユースケース:中規模のデータ移行——ペタバイト規模のバッチ転送。支社バックアップ・現場データ収集・オフライン環境で一般的に利用される。
AWS Snowmobile(レガシー)
- 容量:1台あたり最大100 PB。
- フォームファクター:セミトレーラーで牽引する45フィートのコンテナ。
- ユースケース:エクサバイト規模のデータセンター移行。大規模な動画アーカイブ・ゲノミクス・地震データ等での実績がある。注:2024年時点でAWSはほとんどのリージョンで新規Snowmobile注文を廃止しているが、CLF-C02試験ガイドには認識必須の概念として引き続き記載されている。
AWS Snow Familyのサイジング早見表:Snowcone ≈ テラバイト(ポータブル・エッジ)。Snowball ≈ 数十TBからペタバイト(標準的な移行)。Snowmobile ≈ ペタバイトからエクサバイト(トラック)。CLF-C02の移行シナリオで「100 PB」「セミトレーラー」「エクサバイト」という言葉が出たらSnowmobileを選べ。「堅牢・ポータブル・エッジ」が出たらSnowconeを選べ。それ以外はSnowballを選べ。参照:https://aws.amazon.com/snow/
暗記必須の数値と制限
- 7つのR:Retire・Retain・Relocate・Rehost・Replatform・Repurchase・Refactor(順序と定義を暗記)。
- AWS CAFの6つの視点:Business・People・Governance・Platform・Security・Operations。
- AWS CAFの4つのメリット:リスク低減・ESG・収益・運用効率。
- AWS Snowcone:最大8 TB HDD / 14 TB SSD。
- AWS Snowball Edge Storage Optimized:使用可能HDD 80 TB。
- AWS Snowmobile:最大100 PB、45フィートコンテナ。
- AWS DMS + SCT:DMSがデータを移動、SCTが異種移行のスキーマを変換。
よくある落とし穴 — CLF-C02受験者が失点する箇所
コミュニティのシグナル(CLF-C02試験対策フォーラムやブログのポストモーテム)から、3つの繰り返し登場するAWSマイグレーション戦略の落とし穴が確認されている。以下を注意深く学習すること。
落とし穴1 — Rehost・Replatform・Refactorの混同
CLF-C02の典型的な罠。多くの受験者がReHostとReplatformを「lift-and-shift」の同義語として扱ってしまう。これは誤りだ。
- Rehost = コード変更なし。 VM/アプリケーションをそのままEC2にコピーする。
- Replatform = 的を絞った最適化、同じアーキテクチャ。 典型例:自己管理DBをAmazon RDSに切り替える。
- Refactor = ゼロから再設計。 典型例:Lambda + DynamoDBに書き直す。
落とし穴2 — RetireとRetainの混同
- Retire = 廃止する。 アプリケーションを永続的に廃棄する。
- Retain = 先送りする。 アプリケーションはオンプレミスに残り、後で再検討する。
受験者はしばしば、規制によりオンプレミスに置き続けなければならないシステムを説明するシナリオで「Retire」と誤答する。そのシナリオの正解は Retain だ。
落とし穴3 — AWS CAFとWell-Architected Frameworkの混同
- AWS CAF = 組織の変革(人材・ガバナンス・ビジネス成果)。AWSへの移行前および移行中に適用。
- Well-Architected Framework = ワークロードのアーキテクチャレビュー(6つのピラー:Operational Excellence・Security・Reliability・Performance Efficiency・Cost Optimization・Sustainability)。AWSにすでにあるワークロードに対して適用。
「スタッフのクラウドスキル研修」に関するシナリオはAWS CAF(People視点)であり、Well-Architectedではない。「Multi-AZによるワークロードの信頼性向上」に関するシナリオはWell-Architected(Reliabilityピラー)であり、AWS CAFではない。
マイグレーション戦略の最頻出落とし穴:CLF-C02のシナリオにこんな記述がある——「ある企業がデータベースを最小限の労力でAWSへ移動し、マネージドバックアップとパッチ適用を活用したいと考えている。アプリケーションコードは変更しない。」多くの受験者は「最小限の労力」という表現を見てlift-and-shiftを連想し、Rehostを選んでしまう。これは誤りだ。正解は Replatform だ——マネージドサービス(Amazon RDS)へ移行しマネージドバックアップとパッチ適用を獲得することがReplatformの教科書的な例である。Rehostでは自己管理のEC2に留まり、マネージドサービスの恩恵を受けられない。シナリオを読む際は常にマネージドサービスを示すキーワードを探すこと——それはReplatformを示唆するサインだ(Rehost ではない)。参照:https://docs.aws.amazon.com/prescriptive-guidance/latest/large-migration-guide/replatform.html
整理 — Rehost・Replatform・Refactorの比較表
| 観点 | Rehost | Replatform | Refactor |
|---|---|---|---|
| コード変更 | なし | 軽微(設定・接続文字列) | 大規模(再設計) |
| アーキテクチャ | 変更なし | コアは変更なし、コンポーネントを入れ替え | 完全に新しい設計 |
| マネージドサービス | なし | 一部(例:RDS) | 多用(Lambda・DynamoDB等) |
| 速度 | 最速 | 中程度 | 最遅 |
| クラウドネイティブの恩恵 | 低 | 中 | 最高 |
| 典型例 | MGN経由のEC2 | 自己管理DB → RDS | モノリス → マイクロサービス |
| CLF-C02のキーワード | 「そのまま」「コード変更なし」「最速」 | 「マネージドデータベース」「一部最適化」 | 「クラウドネイティブ」「サーバーレス」「マイクロサービス」 |
整理 — AWSマイグレーション戦略・AWS CAF・Well-Architected Frameworkの比較表
| 観点 | AWSマイグレーション戦略(7つのR) | AWS CAF | Well-Architected Framework |
|---|---|---|---|
| レベル | ワークロード単位の技術的アプローチ | 組織全体の変革 | ワークロードのアーキテクチャレビュー |
| 単位 | アプリケーション1件ずつ | 6つの視点で企業全体 | ワークロードごとに6つのピラー |
| タイミング | AWS移行中 | AWS移行前および移行中 | AWSにワークロードが乗った後 |
| 出力 | ワークロードごとの判断(どのRか) | 視点ごとの変革計画 | ピラーごとの改善計画 |
| 問題例 | 「このDBをRDSへ移行するRはどれか?」 | 「スタッフ研修を担うCAFの視点はどれか?」 | 「自動回復を担うピラーはどれか?」 |
移行のメリット — そもそもなぜAWSへ移行するのか
技術的なマイグレーション戦略の選択を超えて、CLF-C02受験者はエンタープライズがAWSへ移行する理由を説明できなければならない。試験で頻出の4つのメリットカテゴリーがある。
総所有コスト(TCO)の削減
AWSへの移行は、データセンターのCapEx(ハードウェア・不動産・電力・冷却)をクラウドのOpEx(従量課金消費)に転換する。適切なサイジング・Reserved Instances・Savings Plans・自動スケーリングにより、同等のオンプレミスと比較してTCOが通常20〜40%削減される。
アジリティと市場投入速度
新しいAWS環境のプロビジョニングに要する時間は、物理ハードウェアの調達における数週間に対して数分だ。開発者は安価に実験し、失敗した実験を素早く終了させ、より速くイテレーションできる。Refactorを含むマイグレーション戦略はサーバーレスやCI/CDを通じてアジリティをさらに高める。
グローバルリーチ
AWSは世界30以上のリージョンを運営している。ReplatformまたはRefactorによる移行で数時間以内に複数リージョンへのデプロイが可能になり、グローバルユーザーへの低レイテンシサービスとデータレジデンシー規制へのコンプライアンスを実現できる。
コアビジネスへの集中
マネージドサービス(RDS・Lambda・S3・DynamoDB)がOSのパッチ適用・ストレージアレイの管理・データベースエンジンのチューニングといった差別化につながらない重労働を肩代わりする。エンジニアはインフラではなくビジネス機能に時間を費やせる。
FAQ — AWSマイグレーション戦略 頻出問題
Q1: 6 R'sと7つのRの違いは何か?
もともとAWSは6 R's(Retire・Retain・Rehost・Replatform・Repurchase・Refactor)を発表していた。その後VMware Cloud on AWSなどのハイパーバイザーレベルの移動を認識するためにRelocateが追加され、現在の7つのRが形成された。CLF-C02の試験資料は両方に言及しているが、AWSマイグレーション戦略の現在の正式なリストは7つのRだ。
Q2: AWS CAFはAWS Well-Architected Frameworkと同じものか?
違う。AWS CAFは6つの視点(Business・People・Governance・Platform・Security・Operations)を通じた組織の変革に取り組み、AWS移行の前および移行中に適用される。Well-Architected Frameworkは6つのピラー(Operational Excellence・Security・Reliability・Performance Efficiency・Cost Optimization・Sustainability)を通じたワークロードレベルのアーキテクチャに取り組み、すでにAWS上にあるワークロードに対して適用される。この2つを区別するCLF-C02の問題は頻出の落とし穴だ。
Q3: 最もクラウドの恩恵が大きいAWSマイグレーション戦略はどれか?
Refactor / Re-architectだ——サーバーレスのスケール・イベント駆動コスト・マイクロサービスの開発速度をフルに享受できる。ただし、Refactorは最も労力とリスクが高い。多くのエンタープライズ移行プログラムでは、最初にRehostでデータセンターから速やかに撤退し、より長い期間をかけて戦略的な選定ワークロードをReplatformまたはRefactorする組み合わせを採用する。
Q4: ペタバイト規模のデータを物理的にAWSへ送るAWSサービスはどれか?
AWS Snow Familyを使用する。テラバイト規模の堅牢なエッジ用途にはAWS Snowcone(最大14 TB SSD)。標準的なペタバイト規模の移行にはAWS Snowball Edge(Storage Optimizedモデルで使用可能80 TB)。エクサバイト規模のデータセンター撤退にはAWS Snowmobile(45フィートコンテナで100 PB)。これはCLF-C02で最も一般的な移行シナリオパターンのひとつだ。
Q5: スタッフ研修とクラウドスキルを担うAWS CAFの視点はどれか?
People視点だ。カルチャーの進化・変革的リーダーシップ・クラウドリテラシー・人材変革・変更管理・組織設計・タレントマネジメントを包括する。CLF-C02のシナリオで研修・採用・カルチャー・変更管理に言及があれば、AWS CAFの視点はほぼ確実にPeopleだ。Operations(日々の運営)やGovernance(リスクとポートフォリオ管理)と混同しないこと。
Q6: Repurchaseが正解となるのはどんな場合か?
コモディティ化したビジネス機能にSaaS製品が成熟して存在する場合にRepurchase(drop-and-shop)が正解だ——CRM(Salesforce)・ERP(Workday、NetSuite)・メール/コラボレーション(Microsoft 365、Google Workspace)・HRIS(Workday)など。Repurchaseはそのワークロードを移行スコープから完全に除外する——AWSコンピューティングでホストするのではなく、サードパーティのSaaSを消費するだけだ。
Q7: AWS DMSとAWS SCTの関係は何か?
AWS SCT(Schema Conversion Tool)が異種エンジン間(例:Oracle → PostgreSQL)のデータベーススキーマを変換する。AWS DMS(Database Migration Service)が実際のデータを移行し、最小限のダウンタイムで継続的なレプリケーションをサポートする。異種Replatform移行ではSCTを先に実行し、次にDMSを使用する。同種Replatform(Oracle → Oracle on RDS)ではDMSのみを使用する。
参考資料と公式ソース
- AWS Cloud Adoption Frameworkホワイトペーパー(v3):https://docs.aws.amazon.com/pdfs/whitepapers/latest/overview-aws-cloud-adoption-framework/overview-aws-cloud-adoption-framework.pdf
- AWS Prescriptive Guidance — Migration Strategies(7つのR):https://docs.aws.amazon.com/prescriptive-guidance/latest/large-migration-guide/migration-strategies.html
- AWS Snow Family:https://aws.amazon.com/snow/
- AWS Database Migration Service(DMS):https://aws.amazon.com/dms/
- AWS Application Migration Service(MGN):https://aws.amazon.com/application-migration-service/
- AWS Migration Hub:https://aws.amazon.com/migration-hub/
- AWS Certified Cloud Practitioner(CLF-C02)Exam Guide:https://d1.awsstatic.com/training-and-certification/docs-cloud-practitioner/AWS-Certified-Cloud-Practitioner_Exam-Guide.pdf
まとめ — AWSマイグレーション戦略 試験直前チートシート
- 7つのRを暗記する:Retire・Retain・Relocate・Rehost・Replatform・Repurchase・Refactor——それぞれ1行の定義とともに。
- AWS CAFの6つの視点を暗記する:Business・People・Governance・Platform・Security・Operations——それぞれ典型的なC-suiteの担当者とともに。
- AWS Snow Familyのサイジング階段を把握する:Snowcone(TB)→ Snowball Edge(80 TB)→ Snowmobile(100 PB)。
- AWS DMS + AWS SCTが異種データベース移行の標準コンビであることを覚える。
- Rehost対Replatformの落とし穴に注意する:マネージドサービスを示すキーワード(RDS・マネージドパッチ適用)はReplatformを示す(Rehost ではない)。
- RetireとRetainの落とし穴に注意する:Retire = 廃止、Retain = 先送り。
- AWS CAF対Well-Architectedの落とし穴に注意する:AWS CAF = 組織と移行プロセス、Well-Architected = AWS上のワークロード。
AWSマイグレーション戦略とAWS Cloud Adoption Frameworkの習得はCLF-C02タスクステートメント1.3で最もROIが高いトピックのひとつであり、その後に受験するすべての上位AWS認定にもスケールする知識だ。シナリオ対応が自然にできるようになるまで、7つのRと6つのAWS CAFの視点を繰り返し確認し続けること。